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「なんくるないさー」で今日もゆく☆


飽き性のネトゲ初心者によるRed stone水鯖日記。三日坊主にならなければいいな、と……(ホントにな)

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Happy Valentine

適正からちょっと外れてしまった次男・皆月ですが、相変わらずトラン北で狩りを続けています(´・ω・`)
黙々とチリでCPを溜めては水鉄砲、CPを溜めては水鉄砲……



元々真面目な皆月ですが、飽きもせず黙々と狩り続けるのには理由がありました……


もうすぐ2月14日。そう。バレンタインデーです。
しかし、今年のバレンタインデーは、皆月にとって決して「チョコを期待する日」ではなかったのです。


今や揃って育った兄弟ですが、実は皆月が物心付いた今年の春頃、家族は皆月と父のBISの二人だけでした。
当時無課金、そして1stだった皆月。
チリヘイWIZを目指しながらもスキルの振り方が分からず、エンチャやクリティカルヒットに多めに振ってしまい、火力はイマイチ。
しかも、PTやリスト、秘密ダンジョン、ましてやギルドのことなど全く知らなかった皆月は、地道にクエストと狩りを続けながら成長していました。
皆月を支えるため、父は必死に祈り、天使スキルも振って時折タクシーを頼まれながらよろよろと家計を支えていたのです。

そんな日々が過ぎ、初夏を通り過ぎた夏のある日、父は今にも死にそうな二人の女の子を、自分のマントとアーマーに包んで家に帰ってきました。
一人は皆月より年上、もう一人は年下の女の子でした。
驚きつつも、ぐったりしてか細い吐息を零す二人をベッドに運び、介抱を手伝う皆月。
父は自分も傷だらけであるにも関わらず、必死に祈り、傷口を治していきます。

ようやく二人の荒い呼吸も静かになった頃、皆月は父の背中についた傷に包帯を巻きながら、尋ねました。

「あの子たち、どうしたの」
「怪物たちに囲まれて倒れていたんだ。……体力が保たなかったんだろう、息も絶え絶えだった」

それがどんな怪物たちだったのか、皆月には予想もつきませんでした。
しかし、父の背中にざくりとつけられた切り傷、何かに突かれたような深い刺し傷……
倒れた二人の姿を見た父が、自分の着ていた服を二人に被せ、自分は裸の背中で二人を庇い、守ったのだろう……
その傷口ひとつひとつを消毒して手当てを施していた皆月は、ふと、脇腹から背中にかけて、新しい傷跡とは別の、古い傷跡があることに気付きました。
何かに鋭い刃物のようなもので切り付けられた傷跡。
既に塞がって治ってはいますが、傷口ごと盛り上がり、その傷がいかに深いものであったか見ただけで知れるような傷跡でした。

「これ……」

どうしたの、と震える指先で触れる皆月。
その言葉を断ち切るように、父は妙に明るい声で答えました。

「冬頃にな。そうそう、何だか街も浮かれた時期だったな。チョコレートをもった女性たちと、手ぶらの男たちがそわそわしてな」
「……強い相手だったの」
「さすがの私も傷を負うほどには、な」
「治るの、時間かかったでしょう」
「まぁ……な。けど、春頃にはすっかり元通りだ」

へえ、さすが父さん、と微笑もうとして。

皆月は愕然としました。

春。
自分が物心ついた頃。
じゃれると遊んでくれた父。

その頃には既に治っていたという、この深い深い傷跡は、
一体いつ、どこで、なんのために――

(誰の ために)

(負った傷ですか)

皆月は包帯を握ったまま、動けませんでした。
気付いてしまったからです。
そして、思い出してしまったからです。
古い古い、自分の記憶にもない幼い頃、雪の舞う季節。
間違えて入り込んでしまった地下牢獄で、鎧に追いかけられ、血だらけになって、もう駄目だと諦めかけた自分を、

『大丈夫。……もう大丈夫だから』

笑いかけてマントでくるんでくれた人の顔を。


「……おいおい」
気付くと、父が苦笑しながら皆月の涙を拭いていました。
「何でお前が泣くんだ」
それでも涙は止まりませんでした。
何かを言いたくて、伝えたくて、けれども伝える言葉が見つからなくて。
ただ溢れる涙を指先で拭って、ぽんぽん、と父は皆月の頭を撫でました。
「ほら、もう泣くな」
記憶にさえ無い、なのに、懐かしい笑顔で。


「お前は父さんの息子だろう?」







それから数ヵ月後のある日。
父は、いつものように家を出て、そのまま二度と帰ってきませんでした。






成長して砂漠の街へ出掛けられるようになった皆月は、そこで、ある噂話を聞きました。
間違えて呪われた墓に入り込んだ幼いシーフを助けるために、火の海に飛び込んで息耐えたビショップの話を。

「間違えてテイムしちゃった」と早月が珍しく赤い目で夜宵を連れて帰ったのは、それからしばらくしてのことでした。






父親がいなくなって以来、冬が近付くと、皆月は何だか落ち着かない気持ちになるのです。
(他人のために、自分のことも省みず敵の中に飛び込んでしまう)
そんな父だから、今の自分がある。
そんな父だから、人よりも少し早く天上の天使になってしまった。

バレンタイン。自分が父に救われた日。
父が遺してくれた家族を、いつもより、いつも以上にいとおしく思える日。


何かを「貰う」日ではなく、「伝える」日でありたい。


そう思った皆月は、トランでちまちまと狩った品を鍛冶屋で売り、お金を作って、露店を巡りました。
あの日父が連れ帰ってくれた二人。
父がいなくなった日から、支えあってきた二人に、何か役立つものをプレゼントして、自分の気持ちを伝えたい。
皆月は考えた挙句、二人にそれぞれ、この先も使える品を贈ることにしました。

姉の歩月には、FIで殲滅する際に、ラピッドでCPを溜め易いよう、攻撃速度のついた槍を。



妹の早月には、狩りでもテイムでも役に立つ、スキルのついた靴を。



それを不器用ながら丁寧に包装し、居間のテーブルの上に置いておこうとした皆月は、ふと、その場所に何か既に置かれていることに気付きました。
それぞれに添えられたメッセージカードには、大きく元気な「弟へ」という文字と、繊細な流れるような「兄さんへ」の文字が。
自分の包みを端へ置き、それらを手にとって確かめます。
それは確かに、歩月と早月の字でした。

開くと、杖と指輪が入っていました。

 

姉からは、チリに必要な速度のついた杖が。
そして妹からは、「ドロップ品で悪いけど」という但し書きとともに、112の運固定の指輪が。



皆月は嬉しさが込み上げて、思わず笑みと涙が一緒に零れてしまいました。
あの日以来、泣き虫だった皆月が一粒も零さなかった涙。
(父さん)
額に手の甲を当て、そっと窓の外、そのはるか先にある空を見上げて、皆月は心の中で呟きました。


(僕らはやっぱり、父さんの子どもだ)


窓の外では、その声に応えるように、あの笑顔のように静かに穏やかに、ひらりと一筋の雪が舞い降りました。

 


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珍しくストーリー仕立てて失礼しました|*´Å`)
多分兄弟の中で一番皆月が涙脆いんじゃないかと勝手に思ってます。
実際に始めた当初、見た目で皆月(WIZ)を、回復スキルがあるって便利だなぁという安直な思いからBISを育てていたのが話のモトになりました。
PTで回復を行うというのは割に自分に合っていて、皆月より常に上のレベルを進んでいたのですが、ちょうどレイス秘密(魔法秘密)付近で育成を断念し、シフが生まれました。
今思えば再振りして天使かTUBISになる道もあったのですよね。
(当時皆月がまだ滝……ということは無課金だったので、再振りに抵抗があったからと思うのですが、既に記憶が曖昧です)
キャラデリする際に物凄く勇気が要ったのを覚えています。
そんなわけで白鯖で父さんの分身を作るべく天使さんかTUBISさんを作ろうかと検討中ですw(*´∀`*)w

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プロフィール

HN:
ラスコ
職業:
 顕微鏡を覗くお仕事
自己紹介:

メイン//皆月//WIZ
チリ育ちの微健康WIZ。再振りして微運回避WIZへ転身。最近は専らメテオ専門。

RED STONE 水鯖(アクアクリスタル)にてひっそり活動中。ネトゲは初めてで未だに用語もアイテムもイマイチ分かっておりませんがご容赦いただければ幸いです。
skype ID: minazuki_wiz_aqua

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